ドイツ版ハローワーク(Agentur für Arbeit)の支援がすごすぎる!語学学校で無料でドイツ語を学ぶ裏技的方法について
500時間のドイツ語コースが全て無料
授業料・教科書代・Telc試験受験料が全て無料
私は先日、telcのドイツ語試験「Deutsch-Test für den Beruf(DTB) B2」を受験し、無事合格することができました。
試験を受ける前に通っていたのは、ドイツの市民学校VHS(Volkshochschule)の「仕事のためのドイツ語コースB2(Berufssprachekurs B2)」。
このコースの最大の特徴は、「授業料・教科書代・Telc試験受験料が全て無料」であること。
なんと自己負担0で、500時間のドイツ語コースが受講できました。
VHSの「Berufssprachekurs B2」
このコースは、B1の復習とB2がセットになった500時間のコース。
B2のみの400時間コースもあるようですが、最寄りのVHSでは500時間コースのみの開講でした。
約半年間、週5日VHSに通い、1日約4時間の授業を受講していました。
なぜ無料でドイツ語のコースが受講できたのか?
ドイツの手厚い就労支援のおかげ
ドイツにも日本のハローワークのように就労をサポートしてくれる「Agentur für Arbeit」という機関があります。
語学学校での授業料・教科書代・Telc試験受験料が全て無料だったのは、この「Agentur für Arbeit」によるサポートのおかげです。
ここで私は「ドイツで希望する職で働くために、ドイツ語B2レベルを習得する必要がある」と認められ、VHSの「仕事のためのドイツ語コースB2(Berufssprachekurs B2)」が無料で受講できる証明書を発行してもらいました。
この証明書をVHSに提出してコースに登録した結果、授業料・教材費・受験料などを「Agentur für Arbeit」が全額負担してくれることになりました。
このサポートを受けるためには様々な条件があるようなので、希望者全員がこのコースを無料で受講できるわけではないようですが、ドイツで働きたい、そのためにドイツ語を学ぶ必要があるという方は一度「Agentur für Arbeit」に相談してみるのがおすすめです。
ドイツ版ハローワーク(Agentur für Arbeit)に登録する方法
①直接「Agentur für Arbeit」に行く
開館時間内に直接「Agentur für Arbeit」に出向き、窓口で仕事を探している旨を伝えます。
担当者や地域にもよると思いますが、私の前に並んでいた人は英語しか話せず、ドイツ語が話せる人を連れてくるように言われて受付の段階で追い返されていました。
最低限のドイツ語力は必要です。
不安な場合は、ドイツ語が話せる人についてきてもらいましょう。
とはいえ、当時ドイツ語B1レベルかそれ以下だった私でも特に問題なく手続きができたので、恐れる必要はありません。
②求職者として登録する
窓口での受付が終わると、待合室で呼ばれるまで待つように言われます。
その後担当者が決まり、その方のデスクに案内され、そこで求職者として個人情報の登録が始まります。
その際にパスポートや滞在許可証が必要なので、忘れずに持参しましょう。
話すのが苦手な方は、履歴書のような個人情報がまとまったものがあるとスムーズです。
私はこのときに「ドイツでこういった仕事がしたいが、そのためにはまだドイツ語のレベルが不十分なので、就職する前にまずはドイツ語B2コースに通いたい」と伝えました。
担当の方は、明らかに私がドイツ語学習者の話し方だったのもあってか、すんなり承諾。
初回は求職者登録がメインのようで、ドイツ語コースのことは次回の面談で話し合うことになりました。
③担当者との面談
後日、面談の日程が手紙で送られてきます。
指定された面談日に再度「Agentur für Arbeit」に出向き、登録時の担当者とは異なる担当者の部屋で面談をしました。
ここでも私は前回と同様にドイツ語コースに通いたい旨を伝えたところ、早速ドイツ語コースの登録方法について教えてくれました。
ドイツ語コースに登録する方法
ドイツ語コース登録の流れ
ドイツ語コースの登録手順は、以下の通りです。
- 受講したいドイツ語コースを決め、語学学校に空きがあるか問い合わせる
- B1レベルの証明またはプレイスメントテストを受験し、コース参加の許可をもらう
- 「Agentur für Arbeit」にコースを無料で受講できる証明書を発行してもらう
- 証明書を提出してコースの登録をする
①「Berufssprachekurs B2」を開講している語学学校を探す
「Berufssprachekurs B2」は、様々な語学学校で開講されています。
しかし、無料で受講できる人気の高いコースのため、基本的にはどこも満席でキャンセル待ち状態です。
私も一度VHSに直接出向いて相談してみたのですが、直近のコースは満席だと言われ、他の語学学校を勧められてしまいました。
他の語学学校にも問い合わせてみたのですが、どこも満席だったり返事が来なかったりで全滅。
ダメ元でもう一度VHSにこの状況を伝えてみたところ、急に空きが出たのか突然「来月からのコースに参加しても良いよ!」と言ってもらえました。
②B1レベルの証明またはプレイスメントテストを受け、参加の許可をもらう
来月のコースを逃すと4ヶ月待ちだったので、コースが見つかったことに安堵しながらも、ここでさらなる問題が。
「Berufssprachekurs B2」を受講するためには、B1レベルの証明が必要なのですが、私の語学学校のB1修了証では認められないとのこと。
そのため、突然プレイスメントテスト(Einstufungstest)を受けなければいけなくなりました。
ここで落ちたらこのコースには参加できず、ここまで手続きに費やした手間暇が水の泡となり虚無の4ヶ月を過ごすことになるという状況に震えながらも、「来週ここでプレイスメントテストをやろう!」と言われるがままにテストを受けることに。
B1受講以来しばらくドイツ語から離れていた上、プレイスメントテストの内容もわからず、大変不安な中で1週間必死で勉強し、無事プレイスメントテストに合格できました。
③「Agentur für Arbeit」からの証明書を受け取る
無事にVHSで来月からの「Berufssprachekurs B2」に参加できることになったので、VHSの担当者の方から「コースを受講するにはAgentur für Arbeitの証明書が必要だ」という内容の紙を一筆書いてもらい、その足で「Agentur für Arbeit」に向かいました。
「Agentur für Arbeit」は電話やメールでも対応してはくれるのですが、返事がなかったり電話が繋がらなかったりすることが多かったため、コースの開始が来月に迫っていて急いでいたこともあり、開館時間に突撃する方法を取っていました。
そこで、直接「VHSで来月からのコースに参加できること、そのためにはAgentur für Arbeitの証明書が必要であること」を急ぎで担当者に伝えてもらうようにお願いしました。
そして、後日自宅にコースを無料で受講できる証明書が届きました。
④証明書を提出してコースの登録をする
受け取った「Agentur für Arbeit」からの証明書を持って、VHSでコースの登録をします。
ここで欠席時の報告のルールや規定の出席率に満たないと試験の受験資格を失うこと、教科書代や試験受験料も支払う必要がないことなどの説明を受けました。
こうしてようやく「Berufssprachekurs B2」に参加できることになりました。
手続きのポイント
とにかく自分から動く
ドイツでは待っていても物事が動きません。
最初の頃は、問い合わせをして返事が来なくてもいつかは来ると信じて待っていましたが、待っていたところで一生返事は来ません。
それよりも、何度も催促してみたりメールがダメなら電話をしてみたり、最後は直接突撃するなど、手を替え品を替えどんどんこちらからアプローチしていく必要があります。
特にコース開講日が直近に迫っている場合などは、常に緊急だと言って手続きをお願いしていました。
断られても諦めない
私は一度VHSに直近のコースは満席だと言われ、断られています。
それでもコース参加に漕ぎ着けられたのは、諦めきれずに再度VHSに相談してみたためです。
急に空きが出たり担当者の気分が変わったりすることも多々あるので、諦めずに挑戦してみるのも大切です。
ドイツの手厚い就労支援に感謝
語学学校で無料でドイツ語コースを受講するまでには、このように自分自身でたくさんの手続きをこなす必要があります。
手続きは一筋縄ではいかず、大変なことも多いですが、これらの手続きを全てドイツ語で自力でやりきったことは自信になりました。
そして、手続きを進めていく中で驚いたのが、ドイツの手厚い就労支援。
親切な「Agentur für Arbeit」の担当者の方に、いろいろと聞いてみたところ、ドイツ語コースサポートの他にも、職業訓練制度(Ausbildung)・職業転換訓練制度(Umschulung)・継続教育(Weiterbildung)など様々なキャリアサポートを行なっているとのこと。
そして、これらは私のような外国人でも利用できます。
今回はドイツならではの手厚い就労支援のおかげで、ドイツ語コースを無料で受講させてもらうことができました。
今後ここで得たドイツ語スキルを活かして、就労し納税し、恩返ししていきたいです。